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マゼランクロスは、セブ市観光で外せないスポットです。セブ市観光ツアーに参加する場合も、必ずといっていいほどルートに組み込まれています。
世界史の教科書に出てきた探検家マゼランにゆかりのある観光名所ですので、訪れてみたいですよね。どうせ見学に行くなら、その歴史的背景や見どころをあらかじめチェックしておくと、より有意義な時間を過ごせます。
そこで、今回は、マゼランクロスの歴史や背景、見どころなどについてまとめてみました。
マゼランクロス周辺は少し治安が悪いとも言われます。治安状況や注意したい点についても盛り込んでいますので、ぜひチェックしてみてください。
マゼランクロスとは
マゼランはポルトガルの探検家として、記憶している人は多いかもしれません。彼は1521年、フィリピンのセブ島に上陸しました。
マゼランクロスの「マゼラン」は彼の名前から、そして「クロス」とは「十字架」という意味になります。つまり、名称の意味は「マゼランの十字架」ということになりますね。実物を見れば、「そのまんまだな」と思うかもしれません。
マゼランに関連した十字架ということで、八角形のお堂の中に大切に収められているのが、マゼランクロスです。
マゼランがセブ島に到着した際、地元の人にキリスト教の洗礼儀式を行いました。その際に使われたのがこの十字架なのです。
マゼランクロスが置かれている礼拝堂の天井には、そのときの様子がていねいに描かれています。十字架と天井画は撮影スポットになっているので、記念撮影してくださいね。
マゼランクロスへの行き方
セブ島、セブ市のダウンタウンにあり、サントニーニョ教会のすぐ隣に位置しています。そのため、サントニーニョ教会やその付近にあるサンペドロ要塞などとあわせて、セブ市の目玉観光スポットとなっているのです。
マゼランクロスの場所
マゼランクロスはサントニーニョ教会のすぐ隣に位置しています。反対側にはセブ市の市庁舎があります。セブ港からは1.5kmほどの距離にあり、歩いて20分くらいです。
セブ市の下町である、コロンストリートやカルボンマーケットがある地区に位置していますので、ジプニーなどの公共交通機関を使っていくこともできます。
タクシーかGrabがおすすめ
ほとんどの旅行者はタクシーで行くようです。
タクシーで行く場合、交通状況によって左右されますが、マクタン国際空港からは約40分、アヤラモールからは20分くらいかかります。マゼランクロスはセブ市の最重要観光地の一つですので、「マゼランクロス」といえばタクシー運転手はみんなすぐに分かるはずです。
あるいは、配車サービスアプリのGrabを使うのもおすすめです。
隣にはサントニーニョ教会、そしてサンペドロ要塞も徒歩圏内にあるので、あわせて訪れるとよいでしょう。それぞれ、歩いてアクセス可能です。
マゼランクロスの歴史
探検家マゼランは世界一周を果たした探検家として知られています。
フェルナンド・マゼランは、最初にフィリピンに足を踏み入れたヨーロッパ人です。彼はもともとポルトガル人ですが、世界一周の航海に出たのはスペイン船でした。スペイン王によるサポートの元、セビリアを出港したのは1519年8月10日のことになります。
マゼランクロスは、マゼランがセブ島でキリスト教を広めた際に建てられたものですが、彼はもともとキリスト教布教が目的でこの地に来たわけではありません。
マゼランとスペイン航海船の本来の目的は、マルク諸島またはモルッカ諸島(現在のインドネシア)のスパイス輸送を低コストにするための西向き航路の開発でした。
スパイス、つまり香料は、この時代のヨーロッパでは金よりも価値のある商品だったのです。
ところが、フィリピンの島々に先に到着してしまったマゼラン。フィリピン諸島で最初に上陸したのは、無人島のオモンオン(Homonhon)島でした。そして、レイテ島南のリマサワ島に到着し、そこでキリスト教礼拝を行ないました。
これがフィリピンで行われた最初のキリスト教ミサということになります。
その後、地元民の案内で1521年4月7日、セブ島の海岸に上陸することになります。
セブ島は当時フマボン王が統治していましたが、マゼランはフマボン王によって丁重にもてなされ、二人は非常に仲良くなったといいます。
そしてフマボン王とその妻、および数百人の地元民は、キリスト教に改宗することに同意し、洗礼が行われたのでした。これをきっかけにキリスト教がセブ島やフィリピン全土に広まることになります。同時にスペイン人入植の第一歩の瞬間でもありました。
このときに作られたのが、マゼランの十字架、つまり「マゼランクロス」です。マゼランクロスは、フィリピンのキリスト教改宗のシンボルであり、キリスト教徒にとって非常に大切なランドマークでもあるのです。
本来はスパイス輸送のための航路を開発するためにスペインを出発したマゼランでしたが、なぜかこの地でのキリスト教布教に夢中になります。
セブ島では人々を改宗させるのに成功したといってもよい状況でしたが、隣のマクタン島はセブ島ほど容易ではありませんでした。
マクタン島の酋長であったラプラプはマゼランたちに従わず、果敢な戦いを挑みます。
そして、その戦いのときの負傷が原因で、1521年4月27日、マゼランはこの地で命を落とすことになりました。
マゼランを失ったスペイン船隊の乗組員は1521年5月1日にセブを離れた後、壊血病と栄養失調で多くの死者を出しながら航海を続けました。
そしてついに1522年9月6日スペインに帰国、人類史上初めての世界一周を果たしたのです。
出発時約270人だった乗組員のうち、世界一周して戻ってきたのはたった18人だったといいます。まさに、命からがらの帰国という感じですね。
このように歴史を振り返ってみると、マゼラン本人はセブで亡くなっているため、厳密にいうと世界一周はしていないことになります。ただし、彼が参加していたスペイン艦隊が世界一周したのは事実です。
話が横道にそれましたが、マゼランとセブ島との関りの深さを理解していただけたのではないかと思います。
そんなわけで、歴史的重要度が高いマゼランクロスですが、地元民の中に「十字架を削り取って飲むと、どんな病気も回復できる」という噂がたち、十字架の一部を削りとる人が絶えなくなったことがありました。
そのため、マゼランクロスを守ることを目的に、外側にもう一つの木製十字架が作られたのです。
さらに1834年、周囲には八角堂が建てられました。八角堂の天井壁画には、洗礼の様子などが鮮やかに表現されています。
八角堂の中にある現在の十字架は、保護のために作られた十字架のレプリカであり、その中にオリジナルのマゼランクロスが収められているといわれています。ただ、オリジナルはすでに破壊されてしまっていて、実在しないと信じている地元の人たちもいるようです。
真相は、政府関係者と神のみぞ知る、というところでしょうか。
ちなみに、マゼランクロスはマガレーンズ通り(Magallanes Street)からアクセスできますが、この通りの名前もマゼランにちなんで名づけられたそうです。
マゼランクロスの見どころ
マゼランクロスは小さな八角の礼拝堂の中に収められています。上から見ると八角形の形をした建物なので、八角堂と呼ばているのですね。
その中央に置かれている大きな十字架がマゼランクロスです。厳密にいうと、レプリカなのですが…。
八角堂そのものは小さいので、特にたくさんの見どころがあるわけではありません。でも、天井画は美しいので、お堂の中ではぜひ見上げてみてください。当時の洗礼の模様が描かれています。
オリジナルのマゼランクロスは1521年に作られたものですが、周囲を囲む八角堂は1834年に建てられました。同時に、マゼランクロスのレプリカが作られ、オリジナルを包み込むような形になっています。
マゼランクロスの周りにはカラフルなキャンドルが置かれています。キャンドルの色には意味があるらしいので、気になる方は地元の人に尋ねてみましょう。
マゼランクロス内では、キャンドルには火を灯さず、台座において祈りをささげるだけになります。
マゼランクロス周辺の治安は危ない?
マゼランクロスは、すぐ隣にセブ市役所があり、街の中心に位置しています。昼間は人も多いエリアで活気がありますが、夜の治安は良いとはいえません。
近くには、コロンストリートやカルボンマーケットがあり、こちらも昼間は地元の人々で賑わっています。しかし、夜になると雰囲気がガラッと変わります。
昼間に観光で散策する分には問題ありませんが、夜は治安が悪いのでこの地区を歩き回ることはしないようにしましょう。また昼間でも貴重品には注意が必要です。路上ではスマホや現金は絶対に広げないようにしてください。
できれば失くして困る貴重品は、ホテルの金庫などに預けてから出かける方が安心です。
安全性を考えると、タクシーなどを利用して自力で回るよりも、旅行会社が提供する市内観光ツアーに参加する方がリラックスして観光できるでしょう。
マゼランクロスの入場料
マゼランクロスの入場は無料です。営業時間内であれば誰でも入場できます。
服装などに決まりはありませんが、地元の人々にとって非常に神聖な場所となっています。できれば露出を控えた服装で行く方が、よいと思われます。
また、大きな声で騒ぐなど、礼を欠くような行動は慎むようにしましょう。
マゼランクロスに行くベストなタイミング
営業時間は午前8時から午後6時までとなっています。
年中無休で開いていますが、混雑を避けるには平日に行くのがおすすめです。週末は地元の人々や国内観光客で混雑します。また、クリスマスやその他の宗教的祝日も混み合うので、避ける方がよいでしょう。
治安に関するところでも述べましたが、この周辺を歩き回るのは昼間にしてください。日没後は急に雰囲気が変わるため、近づかないことです。
さらに、マクタン島から行く場合、ラッシュアワーの交通状況は非常に悪いです。移動時間に余裕をもって行動するようにしましょう。
マゼランクロス見学の所要時間
マゼランクロスは八角堂に収められており、建物内を観光して終わりとなります。小さなスペースですので、見学にそれほど時間はかかりません。
ゆっくり写真撮影するとしても、30分もあれば十分でしょう。
付近にはサントニーニョ教会やサンペドロ要塞などの見どころが徒歩圏内にありますので、あわせて観光すると時間を有効活用できます。
マゼランクロス周辺の見どころ
マゼランクロス周辺にも見どころがたくさんあります。あわせて観光してみてください。
サントニーニョ教会
マゼランクロスの北側にあるカトリック教会です。隣にあるので、同じタイミングで観光するのがおすすめです。
サントニーニョとは「聖なる男の子」という意味で、幼きイエスキリストを指しています。マゼランがセブ島でフマボン王たちの洗礼を行ったおりに贈られたのが、サントニーニョ像でした。
そのサントニーニョ像が祀られているのが、サントニーニョ教会です。
地元のキリスト教徒の方にとっては非常に神聖な場所になります。そのため、教会内部を見学するときは、露出の多い服装は避けるようにしてください。
入り口にはショールのような布を貸してくれるセクションがあります。露出度の高い服装をしている人は、ここで布を貸してもらって見学できます。
サンペドロ要塞
スペイン統治時代に作られた要塞です。イスラム教徒の海賊などに応戦するために作られました。長い間、戦いと防御の最前線として用いられたサンパウロ要塞ですが、現在は公園として一般公開されています。
セブ市観光の重要スポットでもあるので、ぜひいっしょに訪問してみてください。
上からみると三角形の形に作られている要塞ですが、中はグリーンエリアが広がり、よく手入れされています。施設内には博物館もあり、要塞やフィリピンの歴史を知る資料が展示されています。
砦の上は歩くことができるようになっていて、公園全体やセブ港を見渡せます。
コロンストリート
マゼランクロスから北西の方向にあるのが、コロンストリートです。セブ市の下町に相当するエリアで、大小さまざまなショップが建ち並んでいます。
この通りに沿って1kmほどのエリアが、地元の人々にとっての買い物スポットになっています。ありとあらゆるものがお手頃価格で販売されているため、いつも大勢の人々で賑わっています。
ただし、観光客が買い物できるものはあまりないかもしれません。ローカルっぽいものを探しに行くならおすすめです。
この地区は治安があまりよくなく、特に夜のコロンストリートは出歩かないのが無難です。昼間はたくさんの人がいるのでマシですが、スリも多いため、貴重品管理には細心の注意を払ってください。
カルボンマーケット
マゼランクロスから南西方向にあるマーケットです。セブ市民の台所といわれており、主に食材を扱う市場となっています。
新鮮な野菜、果物、肉、海鮮などが安い価格で販売されています。お土産品を買う場所とはいえませんが、フィリピン地元民の生活を垣間見るにはぴったりの場所です。
卸売り店が多いので、レストランや業者の人が買い物している姿がよく見かけられます。でも、一般の人も買い物できるので、掘り出し物を見つけたら交渉してみましょう。
カルボンマーケットも、コロンストリートと並んで、治安という面では評判の良くないエリアです。
ここにはセブ市だけでなく、周りの島々からも買い物客が訪れます。たくさんの人で混み合う場所は常にスリなどのリスクがあると考えてください。
カルボンマーケットに行く際は、貴重品はできるだけ持ち歩かないようにしましょう。バックパックなども体の前で抱えるようにして歩くのがおすすめです。
マゼランクロスの歴史を知って見学しよう!
マゼランクロスの歴史や見どころについて紹介してきました。歴史の教科書で出てきたマゼランを、少し身近に感じられる場所です。
セブ島では不運な最期を迎えたマゼランですが、探検家として壮大な生涯を送ったことがわかりますね。マゼランクロスとそれが収められている礼拝堂そのものは小さいので、あっという間に見学できると思います。
でも、マゼランと大航海時代に思いをはせながらマゼランクロスを見学してみると、また別の視点から見つめなおすことができるのではないでしょうか。マゼランが伝えたキリスト教は、今もセブやフィリピンの人々に深く浸透しています。
今や切り離すのは不可能なくらいです。地元の人々にとっては非常に重要なシンボルであるマゼランクロス。じっくりと観光してみてくださいね。